せっけんを使うと、台所の配水管がつまるという話を時々聞きます。せっけんカスがたまるためだと言われますが、これは間違いのようです。台所の配水管につまるのはせっけんカス(金属せっけん)ではなく、どうやら油脂そのもののようです。
台所の排水孔には、絶対に油脂を流さない位の覚悟が必要です。前々号で述べたように、せっけんはうすまると油脂を放してしまいます。油そのものを流すことは勿論、油のベタベタした皿をせっけんで洗って流しに流すことも、できるだけ避けてください。油で汚れたフライパンや皿は、まず紙で油をふきとってから洗うようにします。
酸化して使えなくなった油は、新聞紙などにしませて、燃えるゴミと一緒に捨てるようにします。庭や畠のある人は、肥料として使うこともできます。
せっけんを使うからつまるのでないことは、洗面場やお風呂場の配水管がつまらないことからもわかります。お風呂屋さんなど百年近くも配水管にせっけんが流れていますがつまりません。
せっけんに変えたとたんにつまったという人がありましたが、これはたまたま野菜クズがつまった時と、せっけんに切かえた時が重なったということがわかりました。
本気でせっけんに切りかえようと思ったら、やはりそれなりの頭を使う必要があります。本当の意味でかしこい消費者になる必要があります。
排水孔がつまる最大の原因は、排水孔の勾配です。これが一番多いのは、苦情を聞いて調べに行って知りました。それに合成洗剤を使っていると、パイプの微生物が死んでしまって、微生物がいない状態です。石けんは前にも書いたように、薄まると水と油が離れます。微生物がいない所に油が流れてくれば、油はそのままパイプに付着します。石けんを使っていれば、パイプには微生物が一杯付いていて、油はどんどん分解されパイプが詰まることはありません。
※このコーナーでは、石川貞二さんの文章をそのまま掲載しています。当「石鹸百科」とは異なる見解が含まれていることがあります。