フランスのマルセイユが由来
「マルセル」とは、フランス南部の港湾都市マルセイユ(Marseille)の事です。
「マルセイユ石鹸(サボン・ド・マルセイユ)」という呼び名が上等の石鹸の代名詞であった時代があり、「いい石鹸ですよ」という意味で商品名に「マルセル」とつける事が日本でも流行したのです。
石鹸原料が豊かだったマルセイユ
オリーブ油と海藻のソーダ灰
フランスの地中海沿岸のマルセイユは、石鹸の原料となるオリーブ油と、海藻から作るソーダ(アルカリ剤)に恵まれていました。その為、9世紀ごろから脂肪酸ナトリウムの石鹸(固形石鹸)が作られはじめました。
硬くて扱いやすい石鹸
マルセイユ産の固形石鹸は非常に高い評価を得ました。何故なら硬くて扱いやすかった為です。
当時、ヨーロッパの他の地方でも石鹸は製造されていました。しかしそれらは動物の脂と木灰が原料の、軟らかい脂肪酸カリウム石鹸でした。この石鹸は軟らかくて扱いにくく、臭いもきつかったようです。
ルイ14世の王令発布
1688年には、当時のフランス国王だったルイ14世がマルセイユ石鹸の厳格な基準を定めた王令を発布。石鹸の質はさらに上がり、マルセイユは良質な石鹸の一大産地として世界に名を馳せました。
今でも様々な石鹸メーカーから「マルセル」という名前のついた純石鹸が発売されています。
2022年5月改訂(2009年11月初出)