泡と洗浄

界面活性剤のはたらきの一つに、起泡という作用もあります。 洗浄は、固体と液体の間の界面で起きる現象ですが、泡立ちは液体と気体の間の界面で起きる現象なので、洗浄と泡立ちは直接には関係がありません。

しかし、一般に臨界ミセル濃度以上で最も良く泡立つということから、良く泡立つ濃度では十分な洗浄力があることが分かるため、泡立ちの程度は洗浄力の目安になります。

また、泡には滑らかな表面から汚れ(特に固体の粒子汚れ)を吸い取って包み込むはたらきがあります。他にも、泡は軽くてなかなか流れ落ちないので、壁や浴槽などの傾斜面の洗浄に役立つ、 少ない洗浄液を広い面積につけることができる、などの利点があります。

身体を洗うときや食器を洗うときのように、少量の洗浄液で広い面積を洗う場合には、泡で汚れを吸い取って包み込むはたらきが重要です。石けんで食器を洗うときに、スポンジで良く泡立ててから洗うと汚れ落ちがよいのは、このためです。

また、シャンプーの場合には、泡は髪の毛同士の摩擦を和らげる役割も果たしています。
しかし、洗濯の場合は、布の繊維や織り目の凹凸が泡の大きさよりもはるかに小さいので、滑らかな表面の場合と違って、泡が汚れを吸い取って包み込む作用は、あまり働きません。 むしろ、乳化や分散によって洗浄液の中に汚れを分散させるはたらきのほうが重要です。

洗濯の場合の泡の役割は、泡そのもので汚れを落とすということではなく、泡立ち具合が洗浄力の目安になるということです。

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