「天然ソーダ」は「セスキ炭酸ソーダ」
重曹、セスキ炭酸ソーダ、炭酸ソーダ(炭酸塩)の3つは、石鹸生活のパートナーとしてお馴染みですね。
この3種類のソーダ化合物は、兄弟の様によく似た物質で、熱や空気に触れることで重曹が炭酸ソーダになったり、炭酸ソーダがセスキと重曹に分かれたりするなど互いに移り変わることができます。
その中で最も安定しているのが、セスキ炭酸ソーダです。その為、天然に産出するソーダ化合物(天然ソーダ)は、セスキ炭酸ソーダの形をしています。
トロナ鉱石の一大産地「グリーンリバー」
アメリカ・ワイオミング州グリーンリバーには、「トロナ鉱石」と呼ばれる天然のセスキ炭酸ソーダが大量に眠っています。
湖が干上がってできた鉱脈
5~6千万年前にアメリカ中西部にあった巨大な湖が、気候の変化によって干上がりました。その湖底に堆積した有機物から発生する炭酸ガスと、周りの山々から流れ込む水に溶け込んだナトリウム分が反応。長い年月を経て現在の形になりました。
埋蔵量は1千億トン!
グリーンリバーのトロナ鉱石の埋蔵量は1千億トンという膨大なもの。数千年かかっても掘り尽くせないと言われます。
グリーンリバーでは、このトロナ鉱石から、ガラスの原料となるソーダ灰(炭酸ソーダ)を製造するソーダ工業が発展しました。
アフリカ大陸や南米でも産出
天然ソーダは、アメリカ以外に、ケニア、エジプト、南アフリカ、メキシコ、ペルーなど世界の60ヶ所以上で産出します。
フラミンゴとの意外な関係
フラミンゴの生息地として知られるナトロン湖(ケニアとタンザニアの国境に位置)は天然ソーダを多く含む湖です。※「ナトロン」は「天然ソーダ」を意味します。
ナトロン湖にはアルカリ性を好む赤い藻類が繁殖しています。フラミンゴはそれを食べることで、美しい色になるということです。フラミンゴの色が炭酸ソーダと関係があるなんて、意外ですね。
石けん百科&百貨・通信【vol.28】2003.02.01より