酸素の力で殺菌漂白
過炭酸ナトリウム(酸素系漂白剤)は、炭酸ナトリウム(炭酸ソーダ)と過酸化水素が 2:3 の割合で混在してできたものです。
酸化力があるので漂白剤、除菌剤、消臭剤としてよく使われます。
一般に酸素系漂白剤として売られている製品の主成分です。「白さ」を強調する合成洗剤に配合されていることもあります。
殺菌漂白以外にも色々使える
殺菌漂白用途以外にも、以下の例のように様々な使い途があります。
環境にも低負荷
使った後は炭酸ソーダと酸素、水に分解。生分解の必要がなく、環境にもあまり負荷をかけません。
塩素系漂白剤と違って使用後は殺菌作用を失います。その為、家庭用浄化槽を設置している家屋でも比較的安心して使えます。
化学名 |
過炭酸ナトリウム/過炭酸ソーダ/酸素系漂白剤 |
化学式 |
2Na2CO3・3H2O2 |
英語名 |
sodium percarbonate |
過炭酸ナトリウムの特徴 |
- 白色の粉末で、炭酸ソーダ(炭酸ナトリウム)水溶液に過酸化水素を反応させて得られます。
- 水に溶けて炭酸ソーダ(炭酸塩)と過酸化水素に解離します。水溶液はpH10.5(1%)の弱アルカリ性を示します。
- 過酸化水素は弱アルカリ性水溶液中で加熱した場合に、活性酸素と水に分解して酸化力を示し、色素を分解して無色の物質に変えます(漂白)。分解された物質は除去されやすくなります。
- 反応は温和なので、絹・毛を除くすべての繊維に使用でき、色柄物や樹脂加工したものにも使えます。
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過炭酸ナトリウムが得意なこと |
- 布製品や器物類の殺菌漂白
- 食器洗い機の洗剤として
- 発泡力を活かして洗濯槽や排水管パイプの掃除に
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過炭酸ナトリウムが苦手なこと |
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使うときの注意点 |
保管中は水を掛けない
- 水分と反応すると、過酸化水素を放出して炭酸ソーダになります。そうなると漂白力は失われます。
- 空気中の「湿気」程度ではそれほど反応は進みません。「空気中の水分と反応して、すぐに炭酸ソーダに変わってしまうのでは」というような心配は無用です。
完全密封で保存しない
- 水気が入り込まないよう、保管はきちんとフタのできる容器で行います。
- 完全な密閉状態でフタの開け閉めをせず長期間放置するのは止めましょう。僅かずつ発生した過酸化水素が容器の中で溜まり続けると、容器が変形したり、まれに破損したりすることがあります。
※そのような事態を防ぐため、過炭酸ナトリウムの商品パッケージにはガス抜きの小穴が設けられています。
ステンレス以外の金属に要注意
- 過炭酸ナトリウムは、ステンレス以外の金属と反応します。
- 過炭酸ナトリウムの保管に銅やアルミなど金属製の容器を使わないでください。ただし、ステンレスは使えます。
- 草木染め製品は媒染剤として鉄や銅が使われている事があるので過炭酸ナトリウムは使えません。ボタンやファスナー、ラメなどにステンレス以外の金属が使用されている衣類も同様です。
肌や粘膜に付いた時の注意
- アルカリはタンパク質を溶かします。手の荒れやすい方はゴム手袋をしましょう。
- 過炭酸ナトリウムが皮膚に付いてヌルヌルしたときは水で十分に洗い流します。
- 水だけでスッキリしない時は、酢やクエン酸で中和します。クエン酸や酢を手に少量振りかけてよく馴染ませ、その後に水でよく洗い流します。
- 粉や水溶液が目や口に入ったら、清潔な水で十分にすすぎ流します。痛みなどが残る場合は、医療機関に相談してください。
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