現在の洗浄は、界面活性剤が主役。汚れへ浸透し、乳化し、対象から剥がしとって分散する力など、あらゆる面でアルカリ剤より優れているからです。そのため、アルカリ剤は界面活性剤の洗浄力を脇からサポートする「助剤(ビルダー)」として使われるようになりました。
助剤としてのアルカリ剤は炭酸ソーダとケイ酸ソーダがよく用いられています。その作用は以下のようになっています。
- 水中の、あるいは汚れに由来するカルシウムイオンやマグネシウムイオンを封鎖したり、沈殿させたりして洗浄液を軟化する (水の硬度を下げる)
- 洗浄液をアルカリ性とし、汚れの油脂、脂肪酸を石けんに変える
- アルカリ緩衝作用を示し、洗濯に好適のpHを維持する
- 石けん溶液中で界面活性相乗作用を発揮する
- 汚れの除去、解膠、乳化、分散を助けてその再沈着を防止する
阿部芳郎著「洗剤通論」より
「石けんがなお高価な洗剤であったころや、戦時石けんの不足した時代には、水に易溶性の炭酸ナトリウム・10水塩(洗濯ソーダ)や、これに等量の重炭酸ナトリウムを加えてアルカリ性を弱めたセスキ炭酸ナトリウムが、家庭における衣料の洗剤として広く用いられた。炭酸ナトリウムの1%水溶液のpHは11.2、セスキ炭酸ナトリウムのそれは9.8である。」
辻薦著「暮らしの中の洗浄」より
2009年11月改訂