石鹸と合成洗剤を見分ける「お酢実験」を紹介します。
簡易実験なのであまり厳密な結果は期待できませんが、手軽に行えるので便利です。お子さんの理科の勉強にもどうぞ。
実験方法
- 透明なコップやボトルに水を1/3くらい入れる
- その水に調べたいシャンプーや洗剤や石鹸を溶かし、泡が出るまでかき混ぜる
- その中にお酢をたらして混ぜ、泡の様子を見る
実験結果
泡が消えて白く濁る
その洗浄剤は石鹸です。
石鹸は脂肪酸とアルカリの結びついたもの。酸性のお酢がアルカリを中和して、白い脂肪酸が出てきます。泡がなくなるのは、石鹸が分解されて界面活性作用が消えるためです。
泡が消えず、変化なし
その洗浄剤は合成洗剤です。
もともと中性の合成洗剤は、酸性のお酢とは反応しません。アルカリの合成界面活性剤もありますが、合成洗剤に使われる合成界面活性剤は酸と反応しにくいように加工されていることが多いようです。
よって、アルカリの合成界面活性剤だとしても、お酢程度で界面活性作用はなくならず、変化がないというわけです。
泡が消えずに白く濁る
その洗浄剤は複合石鹸です。
複合石鹸は石鹸と合成界面活性剤が混ざっているので、両方の反応が混ざった形で出てきたのです。
お酢では見分けにくい、アルカリ助剤入り石鹸
アルカリ助剤の入った石鹸(炭酸塩の入った洗濯用粉石鹸など)を実験に使ったときは、少し注意が必要です。
アルカリ助剤が入っていると、酸性のお酢が石鹸のアルカリと反応するよりも先に、まずアルカリ助剤と反応します。ですから、少しぐらいお酢を入れても石鹸に影響は及びません。これを「アルカリ緩衝作用」と言います。
お酢を入れてもなかなか泡が消えないため複合石鹸のように見えることもありますが、アルカリ剤の働きでそう見えていることもあるのです。
粉石鹸にアルカリ助剤を入れる理由
アルカリ剤が入っていると、少しぐらい酸性のものが溶けても石鹸が分解せず、界面活性作用が長持ちします。それはつまり、洗濯や食器洗いのときに皮脂や調味料などの酸性の汚れが出ても石鹸の洗浄力が落ちにくいということ。
洗濯用粉石鹸や台所用固形石鹸にアルカリ助剤が配合されるのはこのためです。