アンモニア水(水酸化アンモニウム)とは

アンモニア水の原料であるアンモニアは、常温常圧では無色の気体として存在します。悪臭防止法に基づく「特定悪臭物質」のひとつで、毒物および劇物取締法でも劇物に指定されています。トイレの臭いの元でもあり、あまり良いイメージはもたれないことが多いようです。

ですが、アンモニアは化学工業におけるもっとも基礎的な窒素原料のひとつ。化学肥料、合成繊維、染料などの原料となり、フロンガスが発見される前は冷蔵庫やエアコンの冷媒としても大いに利用されました。苛性ソーダや重曹がアンモニアを使って作られていたこともあるんですよ(アンモニアソーダ法)。

アンモニアを水に溶かしこんだアンモニア水はパーマ液やヘアカラー剤、虫さされ薬の原料として、また簡易クリーニングの溶剤としても重宝されています。アンモニアで服のクリーニングなんて意外なようですが、石鹸が普及していなかったころは尿を発酵させて尿素からアンモニアを作り、それで洗濯をしていたそうです。昔の人もその力にちゃんと気づいていたのですね。

少しクセはあるけれど、ピンポイントでしっかり働いてくれる個性派アイテム、アンモニアのご紹介です。

化学名 アンモニア水(水酸化アンモニウム)
化学式 NH4OH
英語名 ammonia solution, ammonia water, ammonium hydroxide
アンモニア水の特徴
  • アンモニアガスの水溶液で、薬局で市販されているものは10%溶液です。比較的手軽に入手できます。
  • やや強いアルカリ性を示します。
  • 虫刺されなどの医薬品として使われています。(アンモニア水をベースに調合されている市販薬のアンモニア濃度は、約2%です。)
アンモニア水が得意なこと
  • 水洗いできない衣類の簡易クリーニング
  • 強い刺激臭があるので、意識を失った人に対する気付け薬に
アンモニア水が苦手なこと
  • 揮発性なので、広い面積の汚れを一度に落とすことはできません
  • 刺激臭があり、毎日の洗濯には向きません
使うときの注意点
  • やや強いアルカリ性の溶液なので、皮膚についたり眼に入ったりしないよう気をつけてください。ゴム手袋をする、メガネやゴーグルをかけるなどするとより安心です。
  • 強い刺激臭があり、まともに吸い込むと失神することもあります。蒸気を吸い込まないよう、風通しの良いところで作業してください。
  • 揮発性なので、密栓して冷暗所に保管してください。

2020年10月改訂(2009年11月初出)

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