石鹸がなかった時代には、わが国では、洗剤には泡立ちのよいサポニンを含むムクロジの果皮、サイカチのサヤ、米のとぎ汁、豆類の粉末やアルカリ分を含む灰汁などが使われてきました。これら昔の洗浄剤の洗浄性と溶液物性について、要点を以下にご紹介します。
- サイカチとムクロジでは表面張力低下作用および界面張力低下作用が洗浄性に寄与していること、灰汁はアルカリ剤として洗浄性に寄与している。
- 液性は、サイカチが弱酸性、ムクロジが中性、灰汁がアルカリ性。
- 洗浄力は「サイカチ濃度 3.0g/l ~ 4.5g/l およびムクロジ濃度 2.0g/l ~ 3.5g/l では標準洗剤の約 50%弱の洗浄力、pH12 の灰汁では標準洗剤の約 50%強の洗浄力を確認できた。
- すべての試料溶液において、問題になる再汚染は認められなかった。
参考:東京家政学院大学紀要第43号(2003年)
「サイカチ、ムクロジ、灰汁の洗浄性と溶液物性」より
2014年10月初出