世の中に蚊ほどうるさきものはなし
気温の上昇と共にやってくる蚊の季節。
そのうっとうしさは「世の中に蚊ほどうるさきものはなし ぶんぶと言うて夜もねられず」と江戸時代の狂歌にある程です。
スプレータイプの蚊よけ
屋外で重宝するのはスプレータイプの蚊よけ。ラベンダー、シトロネラ、ユーカリ、ハッカなど防虫効果のある精油で手作りもできます。
特にハッカ油はメントールの働きでスーッとする清涼感があり、夏にうってつけの香りといえます。
蚊帳も現役
夜、寝ているときに蚊を遠ざけてくれるのが蚊帳。自然の風で眠りたい、殺虫剤を使いたくないなどの理由で蚊帳を求める人は今も少なくありません。
蚊帳は人の命を守ることもあります。マラリアは蚊が媒介する恐ろしい病ですが、この予防に蚊帳が大きく役立つことが分かり、企業や非営利団体によって普及活動が進められています。
例えばアフリカのジンバブエのケース。マラリア流行地域の、小さな子供のいる家庭にユニセフが40万帳の蚊帳を配りました(2005~2007年)。
すると、2年の間にマラリアの発生件数が40%も下がったのです。
昔ながらの蚊取り線香
昔ながらの除虫菊や除虫草を使った蚊取り線香も健在。
化学合成の殺虫成分(ピレスロイド系)を使った製品より少々煙たいのですが、鼻や喉が変に痛くならない、香りも自然と人気があります。ちょっと凝った蚊やり器にセットすれば夏気分も一層高まります。
蚊に例えられた「寛政の改革」
ところで、冒頭の狂歌は質素倹約(緊縮財政)・文武の奨励を盛んに行った寛政の改革を皮肉ったもの。「蚊ほど」を「これほど」、「ぶんぶ(文武)」を「ブンブン」に引っかけている訳です。
蚊の羽音に例えられるとは、寛政の改革、よっぽど庶民から嫌われていたと見えますね。
石けん百科&百貨・通信【vol.91】2008.07.01より