洗濯用粉石鹸を選ぶ場合には、洗濯物の汚れ具合や洗濯温度、水道水の硬度などにあわせて、石鹸原料となる油脂の脂肪酸組成を考えてみることが大切です。
「脂肪酸」については、「単体脂肪酸の種類」を参照してください。
通常、粉石鹸は2~3種類の原料油脂からできています。以下の記述を参考にして、自分に合った粉石鹸を選んで下さい。
牛脂主体の粉石鹸
牛脂の脂肪酸組成はパルミチン酸:32.5%、ステアリン酸:14.5%、オレイン酸:48.3%で、飽和脂肪酸(パルミチン酸、ステアリン酸)と不飽和脂肪酸(オレイン酸)がほぼ半々になっています。
オレイン酸石鹸は低温でもよく溶け、耐硬水性もよいのが特徴です。
パルミチン酸石鹸やステアリン酸石鹸を十分に働かせるためには50~60℃の温度が必要。つまり、これらの脂肪酸からできた石鹸はお湯での洗濯向きだという事です。
パルミチン酸石鹸やステアリン酸石鹸をお湯で使用した場合の洗浄力は素晴らしいものがあります。煮洗いには最適です。
米ぬか油主体の粉石鹸
米ぬか油の脂肪酸組成は、不飽和脂肪酸であるオレイン酸:40~50%、リノール酸:29~42%や、飽和脂肪酸のパルミチン酸:13~18%。不飽和脂肪酸が多く含まれています。
不飽和脂肪酸の石鹸は、低温の水でも溶けやすく、耐硬水性もよいのが特徴。家庭でのふだんの洗濯に使いやすい石鹸です。
ただし、不飽和脂肪酸は酸化しやすい性質があります。よって、洗濯が終わったらすぐに干すことが大切です。
2020年7月改訂(2009年11月初出)