各単体脂肪酸の石鹸に与える性質

私たちが通常目にする石鹸の殆どは、複数の脂肪酸から出来た石鹸が組み合わさって出来ています。

仮に、単一の脂肪酸のみで石鹸を作ったとするとその石鹸がどのような性質になるかを以下にまとめました。

※脂肪酸名の後にある記号の読み方例:(C18:3)→炭素数18 不飽和結合3個

ラウリン酸ナトリウム(C12

  • 固い石鹸であり、冷水にもよく溶け、耐硬水性も良い。
  • 起泡力に富み、良好な泡を大量に生成する。
  • 洗浄力は、もっと炭素数の多い脂肪酸よりも劣る。皮膚刺激がややある。

ミリスチン酸ナトリウム(C14

  • ラウリン酸より水溶性が劣るが、泡のきめが細かく持続性が良い。

パルチミン酸ナトリウム(C16

  • 50℃以上で水に溶け、洗浄力を発揮する。

ステアリン酸ナトリウム(C18

  • 60℃以上で水に溶け、洗浄力を発揮する。耐硬水性は悪く、起泡力はきわめて貧弱である。
  • 固い石鹸である。高温では洗浄力が高い。

オレイン酸ナトリウム(C18:1)

  • ステアリン酸と炭素数は同じだが、不飽和結合を含むため、水溶性が良い。
  • 冷水にも良く溶け、洗浄力を発揮する。耐硬水性が良く、泡立ちも良い。柔らかい石鹸である。

リノール酸ナトリウム(C18:2)、リノレン酸ナトリウム(C18:3)

  • オレイン酸石鹸よりもいっそう軟質で水溶性も良いが、洗浄力は悪くなる。
  • リノレン酸は酸化しやすく、洗浄力にも寄与しないので、石鹸の主原料とされることはない。

リシノレン酸ナトリウム(C18:1)

  • ヒマシ油中にのみ存在する特殊な脂肪酸で、硬くて水に溶けやすい石鹸となる。
  • 洗浄力、起泡力は弱いが、透明石鹸の原料として用いられる。
2022年5月改訂

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