石けんの泡は、洗うときにいろいろな役目を果たしています。泡の役目は、洗うものや洗い方によって少しずつ違っています。
泡で汚れを浮かせる
洗顔や網戸洗い、カーペットの染み抜き
石鹸や洗剤は、界面活性作用(油脂と水を混ぜ合わせる力)で汚れを石鹸水(洗剤水)に溶かして落とします。
ですが、それとは別に、泡にも汚れを対象物から吸い出すようにはがし取り、包み込む作用があります。洗顔、網戸洗い、カーペットの染み抜きなどでは泡をぬりつけて汚れを浮かせ、汚れを含んだ泡ごと洗い流したり拭き取ったりして洗浄します。
泡がそれほど働かない場面も
ただし、洗濯機や洗い桶、たらいに石鹸液を溜めてそこで洗うようなときは、泡の汚れ落とし能力はそれほど期待できません。
複雑な形状の繊維にしっかりくっついた汚れを浮かせるほど泡の力は強くありません。また、石鹸水に沈んだ洗い物は泡に触れていないからです。
このようなときに汚れを落とすのは「泡」ではなく、石鹸液の持つ「洗浄力」です。
洗浄力の目安にする
泡は、石鹸液が洗浄力を持っているかどうかの目安としても利用できます。
なぜかというと、石鹸液はある一定以上の濃度があってはじめて洗浄力が出るからです。そして、泡の立つ濃度と洗浄力の出る濃度はほとんど同じ。ですから「泡が立っている=汚れを落とす力がある」と判断できるのです。
そのほかには、水面に浮かんできた石鹸カスを包み込んで、衣類に付着しないようにする役目も果たしているようです。
クッションになって洗う対象を守る
泡は空気を含んでいるのでクッション性があります。
シャンプーのときは充分泡立ててと言われるのは、このクッション性で髪の毛同士がこすれ合うのを防ぎ、摩擦によるダメージから髪を守るためです。また、顔や身体も泡で包むようにして洗うと、摩擦による肌への刺激が少なくてすみます。