洗濯にお湯を使うと汚れが良く落ちるのは、お湯の持つ熱エネルギーが汚れ落としに有利に働く事が多い為です。
例外もありますが、大体40℃程度までは温度が上がるほど洗浄効果は高まります。それ以上の高温では欠点が利点を上回ることもあります。
以下に、お湯で洗う事による利点を挙げます。
水の粘度が下がる
温度が上がると水の粘り気が減り、サラサラになる。そのため、細かな繊維の隙間や、生地の織り目に洗浄液がより入り込み易くなる。
洗剤が良く効くようになる
洗剤がよく溶ける
冷水では充分に溶けない洗剤(例:脂肪酸石鹸など)がよく溶けて洗浄力を発揮できるようになる。
界面活性剤の働きが速くなる
石鹸や合成界面活性剤が水に拡散するのが速くなり、汚れに早く到達できる。結果、より素早く汚れを落とせるようになる。
洗剤の配合成分が効率良く働く
高温(40℃以上)で特に洗浄力を発揮する成分が活発に働くようになる。(ステアリン酸やパルミチン酸からできた石鹸等)
酵素は20~60℃、過炭酸ナトリウム(酸素系漂白剤)は40~50℃の温度帯で最も効率的に働く。
蛍光増白剤は、温度を上げるほど繊維に付着する量が増える為、蛍光増白効果が上がる。
※石けん百貨は蛍光増白剤の使用には否定的な立場です。お湯を使うと洗剤成分が効果的に働く一例としてこの解説を行っています。
汚れそのものが落ち易い状態になる
水溶性の汚れ
水温が上がると汚れが洗濯液へ溶け出し易くなり、薄まり易くなる。
油溶性の汚れ
油汚れ(液体・固形)
液状油(植物油など)は、温めると粘度が下がり、よりサラサラになる。固形油(ラード、牛脂など)も、常温では固形だが、温度が上がると軟らかくなったり液状化したりする。
固形を保っている/粘り気がきつい油より、軟化しサラサラになった油の方が界面活性剤やその他の作用によって取り除かれ易くなる。
皮脂汚れ
混合皮脂汚れの融点(※)は35~37℃とされる。30℃ではペースト状だが、40℃では液体となり取り除き易くなる。
(※)融点:固体が液体になり始める温度。
参考文献:『新版 被服整理学 その実践』(光生社)